ほぼ一年振りに母と会った。
母は電車を乗り継いで街まで出てきた。
自宅の最寄りからではなく、出先で思い立ってそこから来たという。
そういった電車の乗り継ぎとかは勝手に苦手だと思っていたけどそうでもなかったようだ。
地下街で合流した母は、思っていたよりも小さかった。
母の背を越したのは中学生の頃だっけ。
白髪も増えた気がする。
歩幅も小さく、ドアを開ける力も弱々しい。
けれどもいつもよりは幾分元気そうに見える。
ご飯も私より食べるのが早かった。
煙草の本数も変わらない。
母はいつもと変わらず、
私を子供扱いして、
可愛いと言う。
なんでも買ってくれようとする。
「会いたいのを我慢できなかった」と喫茶店で話された。
いつもなかなか会いに行かなくてごめんねお母さん。
「うわぁ綺麗。早くせんと間に合わんばい。」とヴィンテージのドレスを見てこぼす。
まだ見せられそうになくてごめんねお母さん。
私に洋服を買ったらやることは終わったとでも言うかのように帰るお母さん。
電車の改札を人混みの中歩いていく後ろ姿を見て、さみしく思った。